轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
第三十六 心の礼
を攻撃した。大原ばかりは朋友と話す時にも教師の事はいつでも誰先生と尊敬していうし、独語にも先生先生という。最も感心な事は朋友の事をも決して呼捨にしない。私だってあの男の噂をする時には大原がこうだと呼捨にする癖があって困るが大原は私の事を人に話すにも中川君がこうしたという風だ。あの男に化せられて学生の風儀が大層好くなったから教師もそれを愛してお情けに卒業させたのだろう」妹「お情けの卒業は少し困りますね」
第三十六 心の礼
兄はここに至りて大原の事を弁護せねばならぬ場合となれり「お情けの卒業はありがたくもないが、しかし私も近頃に至って始めて心の礼という事に感服したよ。以前学校で大原の説を聞いた時分はナンダそんな迂遠な事を言って何の役に立つものかと軽蔑したが社会へ出て今の世人の有様を見ると実に心の礼の欠乏しているのに驚くね。先年或る高等官が大病に罹った時、私の友人の学者連が二、三人で病気見舞に往ってその帰りにここへ寄った。その時の話しに驚く。あの人はモー駄目だ、今度こそごねる、あの人が死ねば何某がその職を亜ぐだろう、その時は此方も位地を進めてもらえる、今日はついでにその人の処へ行って御機嫌を伺っておこうと一方の病気見舞は一方の御機嫌伺いと変じた。