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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
第五十三 去勢術
それもドウキングに限らない。雑種でも日本鶏でも去勢すれば皆んなその通りになる。去勢術が広く全国へ行われたら養鶏上の利益は大きなものだね」小山「ウム、同じ鶏を飼って肉が倍以上に殖え、直段が三倍になるとしたら百万円の鶏が五、六百万円になるのだから国家全体の利益さね」と談話はとかく横に外れる。お登和嬢は大原のナイフを持ちて骨付の肉を剥がんとするを見「大原さんその肉はお箸でおちぎりなすっても取れますよ」と教えて遣る。大原はお登和嬢の親切を格別に嬉しがり「なるほど、ありがたい」と箸を執りて肉をちぎり始めぬ。お登和嬢塩の器を押し遣り「大原さん、塩気が足りませんければこれをおかけなさい。アレさ指でお摘みなさらないでナイフで掬ってフークへチンチンと叩いてお振りかけなさい」大原マゴマゴ「アアいよいよありがたい」
第五十三 去勢術
客の小山は去勢術の話を耳新しく感じ「中川君、去勢術の利益は大きなものだ。僕の郷里でも養鶏を盛に遣っているから去勢術を実行させたいと思うがその方法は面倒だろうね」主人「ウム、随分面倒だ。何にせよ孵化後二か月ないし三か月の雛鳥を去勢するのだから、少し手荒いことをすると鳥が弱って直ぐ死んでしまう。