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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
第二十五 心細き
ただしこれは普通の新豆を煮る場合なり。もっともお多福豆に加えてもよし。
○鯉は蛋白質壱割九分、脂肪一分ありて滋養分多し。鯉の味噌汁を産婦に飲ましむれば乳の量を増すと称するは鯉も味噌汁も共に滋養多ければなり。
第二十五 心細き
台所にて料理の手伝をなしたる大原はお昼の御馳走を例の如く飽食せり。お豆腐の餡掛け、薩摩芋の梅干韲、同じくセン、同じくフライ、同じくマッシ、自分が少し焦付かせたる干瓢なんどいずれも美味ならざるはなし。さりながら大原の悦びはお料理の味よりもお登和嬢と共に御馳走を喫せしにあり。なるべくなら晩にもこの楽みを再びせんと「お登和さん、貴嬢も御緩りと遊んでいらっしゃい。晩までに此方の小山君もお帰りになりましょうから」と頻に嬢の去らん事を気支う。お登和は一刻も早く立去りたし「イイエ、家にも用事がありますからお暇を致します。奥さん、大にお邪魔を致しました。どうぞ私どもへもお遊びにいらしって下さい」と妻君の引留るを辞して遂に我家へ戻り行ぬ。失望せる大原「どうでしょう奥さん、お登和さんは僕の処へお嫁に来てくれましょうか」妻君「そう貴君のように性急な事を言っても出来ません。