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くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

春の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页

青空文庫

殊に大きな小供のある家では小供たちに自分で拵えさせるとどんなに悦ぶだろう。味も淡泊で膨らんだ品だから餅菓子や駄菓子のように腹へ毒でなし、食べるという事の外に拵えるという楽みがあってこの鍋を一つ与えると買食なぞを止してしまうね。ソラこの通りまた出来た。いくつでも訳はない。お客の顔を見てからでもお茶菓子が直ぐに出来る。菓子屋の菓子を買うと折々昨日の蒸返しを持って来たり、腐った玉子を使ってあったりして気味が悪いから僕の家ではなるべく手製の菓子ばかりをお客に出す。それにはこのワッフルが一番軽便でいい。我邦の子供は悪い習慣でとかくに買食が好きだ。衛生に悪い事も構わず、兵士の残飯で出来た駄菓子だの、危険千万な色付菓子だのと毒になるものばかり食べたがるが、たとい親がその事を厳禁したくも外の子供と遊ばせなければイザ知らず、近所合壁の腕白息子と友達になってはどうしても絶体的に買食や間食を禁ずる事が出来ん。ところでこういう軽便な器械を買って与えると男の子も女の子もともに悦んで毎日拵える。自らそのために料理の法も覚えるし、普通の日本菓子のように甘過ぎるものを腹へ入れて胃を壊さずに済む。