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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
第八十三 小児の食物
安菓子にこれを用いたるものあり。また小児の玩具にこれを塗りたるもあり。
○小児の玩具に色を塗りたるは最も危険にて往々舌にて舐め中毒を起す事あり。紅き色と青き色が最も悪し。
○砒石の中毒は羽毛筆などにて喉をくすぐり食物を吐かしむるが応急の手当なり。その後生玉子を飲み、医士の投薬を待つべし。
第八十三 小児の食物
世には小児の食物に注意する人寡し。然れども小児の発育は主として食物の良否に関す。食物を精選せずして小児の発育せん事を望むは肥料を与えずして我が麦の大ならん事を祈るが如し。食物を精選するは先ず食物に関する智識を養うにあり。世間の親たちよ、鶯の摺餌を作る事が非常にむずかしきものと知らば小児の食物は一層大切なる事を懐え。小山は我が説の誤解せられん事を憂い「大原君、膨らんだ物が腹へ入って小さくなるから小児にいいといってもバターや焼粉を入た西洋菓子だのビスケットだのというものは乳離れの小児に極く悪い。何となれば焼粉は酒石英だの曹達だのと薬品が交っているから小児の胃に堪えられない。軽い菓子がいいと信じてビスケットなぞを小児に与えては甘い菓子よりなお悪い。乳離れの赤児にちょうどいい菓子は僕が今拵えて進げるよ。