轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页

青空文庫

音吉が云うので、二郎は、袂を離さず、あいている方の手で、ポケットから、ライターを取り出しカチッとそれを点火した。

音吉はゆらめく火影に、暫くあちこち地面を眺めていたが、

「アア、ここだ」

と呟いて、地面の一箇所を指さした。

見ると、三尺四方ばかり、今掘返した様に、土の色が変って、そのそばに、一挺の鍬が転がっている。

音吉は鍬を拾うと、いきなりその地面を掘り出した。

音吉が何か見せるものがあるというのは、嘘ではないらしい。二郎は、いくらか安心して、その時まで掴んでいた挟を離し、相手の土掘り仕事を助ける為に、ライターを地面に近づけてやった。

「そこに何があるのだ」

「はっきりしたことは分りません。併し、わたしの想像では……」

音吉は鍬を動かしながら答える。

「君の想像では?」

「非常に恐ろしいものです」

と云った切り、彼は、ムッツリ黙り込んで、土掘りに余念がない。

やがて、掘返された土の中に、麻の袋の様なものが見えて来た。

その時、二郎の頭に突如として、ある恐ろしい考えが閃いた。「そんなことがあるものか」と打消す下から、その想像は、段々はっきりと、毒々しい血の色で、彼の心中に拡って行った。