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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

……それにお味方の連中にしてからが、味方頽勢と目星をつけると、平気で宮方に款を通ずるいうことにだってなるからのう」

「そんな裏切りの心の持ち主、お味方にもあるだろうか?」

「足利殿などあぶないそうじゃ」

「足利殿? 高氏殿?」

「そうよ。足利高氏殿よ」

「でも、あのお方は笠置攻めから、この赤坂の城攻めまで、神妙にご従軍されたがな」

「不承不承にご従軍なされたのじゃそうな」

この時、姥たちの後について、さんざめきながら歩いて来た。娼婦だの金剛砂売りだのが、声を合わせて歌い出した。

天王寺の妖霊星

見ばや見ばや妖霊星

歌につれて踊り出したのは、三尺足らずの侏儒で、頭ばかりが人並よりも大きく、手足が子供さながらの体を、独楽のように廻したり、凧のように泳がせたりした。

それに続いて踊り出したのは、韃靼服を着た吐蕃人で、わからない西域の蛮音で、吐蕃歌をうたって踊り出した。

みんなドッと声を揃えて笑った。

秋深い十月で、落葉樹はおおよそ葉を落とし、林はカラッと隙けていた。その隙間からは月光が洪水のように流れ込んでいた。

その月光に溺れながら、妖怪じみた一団は、踊りはやして行くのであった。