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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「ふうん」

と六郎は驚いたように云った。

「二百人三百人、そうも来たというか」

「後続々と幾何ともなく、詰めかけ参る様子にござります」

「ふうん」

六郎は呻くように云った。

「七郎これは啓示らしいぞ」

「啓示? 兄上、啓示とは?」

「例の七人の男女の触れ言、悪戯でもなく姦策でもなく、人をもって云わしめる天啓らしいぞ! ……でなかろうものなら郷民の心を、そうも刺戟し一致させはしない」

「いかさま、兄上、これはごもっともで」

「大門をひらけ!」

と野長瀬六郎は、近習に云って立ち上がった。

「郷民どもを庭へ入れよ! ……篝を焚き湯づけなど出し、ねぎらってやれ、ねぎらってやれ!」

その翌日の昼となった。

芋ヶ瀬の郷の林の中に、桂子たちの一団がいた。

晩春の悩ましい陽の光が、杉の木立から射し込んで、緑の草や草の間の野花を、質のよい織物のように燿わせていた。

「相変わらずよ、あの通りだわ」

頸のあたりを陽に焙らせながら、幽霊女へこう云って、鶏娘は拝殿の方へ頤をしゃくった。

「そうね」

と幽霊女は細い股の上へ、翅を休めた蝶の姿を、可愛いというように眺めていたが、その眼をあげて拝殿の方を見やり、