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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
その眼を抑え、小山を駈け下り、宮家の前へドッと坐った。
「一大事!」
絶句した。
宮家をはじめ三十余人は、総立ちとなって彦四郎を囲んだ。
と、そこへ矢田彦七がよろめきながら、駈けつけて来た。
「矢田が帰った!」
「彦七どうした※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「片岡は?」
「八郎は?」
「彦七へ水を!」
口々に叫ぶ一同を見廻し、彦七は宮家のご前へ寄ったが、グタグタと膝をつき喘ぐ息で、……
桂子たちの一団が、小山の蔭の林の中へ、息せき走って来た時には、矢田彦七が玉置の荘司の、逆意と討手を差し向けたことを、宮家へ言上した後と見え、三十余人のお供の者が、鉄壁のように宮家を囲み、玉置の討手を逆撃つべく、小山の裾を巡るところであった。
(向こうへやっては一大事!)
そう桂子は咄嗟に思った。
で、小松や満天星や茱萸や、櫨や野茨などで、丘のように盛り上がっている、藪の蔭に身をかくしながら、
「大塔宮様ご一行の、ご難儀の場合と見奉りまする、玉置の荘司不忠不義にも、順逆の道あやまって兵を出だして、宮様ご一行をお襲い申し上げんと、追いかけ参るに、逆撃べき御模様、勇ましき限りにはござりまするが、敵は大勢御味方は小人数、ご尊体にお怪我などあらせられては、回天のご事業も一頓挫か! ……この際はお怒りをしずめられ、恥じをお忍びあらせられて、御道