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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
街道の出入り口の広い地域には、巨材と青竹とで厳重な柵と、いかめしい門とが作られてあった。そうして弓や槍や長柄や、薙刀や鉄杖で固められていた。
急ごしらえの関所であり、人別あらための吟味所であり、人馬の往来を調節して、非常に備える大木戸でもあった。
数十人の六波羅の甲胄武士が、鋭い眼を八方へ配りながら、関門を通る人々の姿を、仔細に厳重に調べている様子が、殺伐の気を二倍にした。
「土岐十郎頼兼の妾、同じくその子の六歳になる朱丸、この二人を捕えようと、鬼火の姥めは死に物狂いなのじゃ」
と、範覚は吼え出した。
「頼兼も多治見ノ四郎二郎も、敵ながら天晴れに討ち死にし、一族郎党一人残らず、この世を去ってしまったのじゃ。……そこで六波羅方大狼狽よ、宮方に一味し徒党した輩の、姓名人数がわからないからなあ。……それにもう一つ困ったことは、今回の宮方ご謀反の次第を返り忠して、内通した男、土岐蔵人頼春という男が、行方不明になってしまったことさ。……戦場から身をかくしてしまったのだそうな。……そこでいよいよ六波羅方では、宮方に加担した人間の名を、知ることが出来なくなったという次第なのさ。