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ふしぎくにたんけん

ふしぎ国探検

海野 十三

「ラジオ仲よしクラブ」1947(昭和22)年9月号~1948(昭和23)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,118 字 · 120 页

青空文庫

しかし笑ってはいけませんよ」

東助は博士から渡された眼鏡を急いでかけてみた。

おお、これはふしぎ。くらやみの室内が、夕暮ぐらいの明るさで、はっきり見える。

東助はおどろいた。何よりもおどろいたのは、岩竹女史をしばりつけてあった椅子の中に、女史の姿はなかった。そしてその女史は、正面に立ち、両手を自由に使って、二つの火の玉が糸でつりさげられた長い二本の細竹をあやつって、しきりに会員の頭の上でふりまわしていた。

別の男が、やはり同じようにラッパを細竹につってふりまわしていた。そのラッパには長いゴム管がついていた。その男は頬をふくらませて吹いた。するとぷっぷくと音がでた。

もう一人の男は、エジプト人形をつった細竹をもって、ゆらゆらと左右にふっていた。

(ひどいインチキだ。なにが心霊ゴングだ)

と、東助は腹が立った。そのとき博士が眼鏡をかえすようにと、ささやいた。そしてこの会の最後まで、何もしらないことにして、さわいではいけないと注意をあたえた。

この実験会が大成功に終って、ゴングの霊は拍手におくられて消えた。そしてそのあとで会長が電灯をつけた。

すると岩竹女史は、いつの間にか前と同じ形で椅子に厳重にしばりつけられて、ねむっていた。