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ちきゅうはっきょうじけん
地球発狂事件
海野 十三
「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页
後に分かったことであるが、丁度その時刻と思われる深夜のこと、或る哨戒機が、夜空に虹のように懸っている薄紫の光の橋を見たそうである。その下端は、たしかに海面に達していた。その哨戒機は、直ぐ気がついてレーダーをそっちに向けた。ところが、レーダーには何にも感じなかったという。ただその薄紫色の虹の上端が始め見えたときよりも遙かの上空まで細くなって伸びているのを認めただけだったということだ。
「怪人集団は、地球から撤退したんだ。恐らくエンジンの修理が出来たんで、出発したんだろう」
ワーナー博士は、そのように説明した。
ホーテンスの話によると、彼等三名以外の者は城塞へ収容されて間もなく死亡したという。彼等の遺骸だけは、戻って来なかった。恐らく怪人たちは、この前日のこっちからの申し入れを聞入れて、生きているホーテンスたち三名を返して寄越し、その代り遺骸となっている分だけは、すばらしい土産――地球人類の標本として、彼等の星へ持ちかえったものと思われる。
怪人集団は、本当に地球を撤退したものらしく、その後念入りに大西洋の海底探査が行われたが、彼等の姿もその城塞も発見されなかった。