轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
「暫くわし一人で検べて見たいから、君は先に下へ降りてくれ給え」
一体この老人は、こんな所に一人残って、何をしようというのだろう。品子さんはとっくに誘拐されてしまったのだ。そして、もう一時間余りもすれば、どこかで惨殺されようとしているのだ。それを、今頃になって、こんな所をウロウロ検べて見て、何になるのだろう。全く無意味ではないか。三笠老人、頭がどうかしているのではあるまいか。
だが、守はさい前から、洋間の会議が、どの様に進行しているかと、そればかり気がかりになっていた際なので、老探偵の奇妙な申出をこれ幸と、云われるままに、元の会議室へと取って返した。
会議は別段の進捗を示さず、これという名案も浮ばぬ様子であった。人々は段々口数が少くなっていた。三時には余す所一時間少しだ。誰も彼も不安と焦慮に青ざめて、目ばかりギラギラ光らせていた。
蓑浦捜査係長の姿が消えていた。訊ねて見ると、賊の予告状を掴んで、慌しく警視庁へ引返して行ったとのことであった。
こうしている内に、時は刻々経過して行く。やがて間もなく殺人が行われようとしているのだ。しかも、その殺人者も、被害者も、人々から全く手の届かない、どこかの隅に姿をくらましたまま、全市の警察力を以てしても、遂に探し出すことが出来ないのだ。