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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页
そんなことも云った。
その他にもいろいろあったが、半之助には狸の談合場と、白い亡霊の行列とが、いちばんつよく頭に残った。こうして明くる朝、甲府へ帰任していった叔父は、それから約一年半ののち、ついに行方知れずに、なったのである。
もちろん江戸ではなにも知らなかった。また、そんな異常なことが起こっていようとは、想像もしなかったのであるが、中一年おいて、元禄九年の三月、甲府から下僕の孫七が出て来て、初めて意外な事実を聞かされたのであった。
だいたいを記すとこうである。
江戸から帰った年の冬、叔父は一人で甘利郷へでかけていった。まえにもたびたびいったし、そのときも気がるにでかけたのであるが、そのまま三十日ほども戻って来なかった。
孫七は気が気ではなかった。役所でも捨てておけなくなり、同僚の人たちが、小者を二十人ばかり伴れて、捜しにいった。五六日もかかって、その付近を隈なく捜したところ、どうやらかんば沢へはいったらしい、ということがわかった……まえに叔父が自分で話したように、そこでは二人が失踪し、辛うじて助かった一人は狂死している。またそれ以前にも、そうした例があったそうで、