轻松读懂日语经典作品
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页
落雷
一
と書いたものがあった。半之助はちょっとためらったが、手ばやくその四五枚をめくってみた。
達筆ではあるが、文字は粗密こもごもで、統一がなく、乱暴に消したり、書き入れがあったりして、土蔵の中の光りでは、ちょっと判読がむつかしかった。そして、その一枚に、不規則な菱形の、紋どころと思える絵をみつけたとき、母の呼ぶ声がしたので、慌ててそれを片づけて立った。
いつか機会をみつけて、叔父の手記を悠くり読みたいと思ったが、父が半之助の見たことを気づいたのだろう、どこかへしまい変えたらしく、たびたび捜したがみつからなかった。そして、時の経過とともに、しぜんと忘れてしまった。
落雷
一
宝永五年六月二日。将軍綱吉は、柳沢吉保の邸の、宴遊に臨むはずであったが、城を出るまぎわになって、急に中止された。
おなじ日、安倍半之助の家では、亡父、伊右衛門の三回忌に当り、麻布南部坂の昌雲寺で、その法要をおこなった。寺へは十時にあつまり、終ってから家で昼食をだす。ということで、まえの日に、麻布谷町の安倍から、料理人がよこしてあり、また、その日は朝はやく、二女の佐枝が、若い召使を三人つれて、手伝いに来た。