轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页

青空文庫

「登世は明日、甲府城へはいります、恵林寺さまの御遺志を忘れない者、父祖代々の誓いを忘れない者、甘利武田の名を惜しむ者は、登世のあとにつづくがよい」

彼女は手に持った鳥を示し、「これをごらん」と額をあげて云った。

「奉納の舞のなかばに、篝火の中へ落ちて来た、これこそ恵林寺さまの御霊が、挙兵のときをお告げになるあかしです、この……」

とつぜん、彼女の声がとぎれ、ひきつるようなその顔を、こちらへ、半之助の隠れているほうへと、ふり向けた。彼女の眼が火のような光りを放ち、唇が、片方へ歪むのを、半之助は見た。

「そこに、曲者がいる」登世は絶叫した、「幕府の手先だ、その大杉の蔭に、射て取れ、逃がすな」

そのとき、武者たちの居並んでいる、うしろから、弓を持った男が、非常にすばやく立ちあがり、神速に、矢をつがえて射た。登世の叫びと、その男の矢を射かける動作は、殆んど間髪を容れぬ、といいたいほど、すばやく、かつ、呼吸が合っていた。

半之助は身が竦んだ。あまりに不意で、どうすることもできず、息が詰るようであった。

しかし、矢は、彼のいる処よりも、やや右にそれた。二の矢、三の矢。