轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页
そして、この姉や、姉と共に江戸から来た者たちは、逆に追われて、ちりぢりに逃げたもののようである。
「あたしの夢はやぶれた、なにもかも、いっぺんに崩れてしまった、みどう一族の守ってきた、再興の望みもこれで終りです、あたしはこの伏岩といっしょに死んで、死霊となって徳川の天下を呪い亡ぼしてやります」
「そんなことを仰しゃらないで、お姉さま」
二人はそこへ来ていた。
松火を持った、姉の袖に(姉妹はまだ羽衣の衣裳のままであった)縋りついて、花世のかきくどく姿が、半之助のついそこに、手の届くばかりのところに、見えていた。
「お父さまやわたくしが付いていますわ、いくらだって手の尽しようがありますわ、死ぬなんて仰しゃらないで、お願いよお姉さま、どうぞいちど帰って」
「いいえいや、いやです、放してお呉れ、さもないとあなたもいっしょに死んでよ」
「お姉さま」
「楔の岩を抜けば、この洞窟はいっぺんに崩れる、それでなにもかもきれいになるのよ、あなたは帰って、此処から先へついて来ると、あなたもいっしょに死んでよ」
「待って頂戴、待って」
姉は崩れた岩の山へ登って来た。彼女の持っている松火が、ぱちぱちとはぜ、その火粉が、半之助の躯にふりかかった。