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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
大学は焼け、軍隊は解散して、いずれも当時の身長を知る由がありません。中学校五年春の体格検査には五尺五寸五分となっていますが、この時代はまだ発育する可能性も多い時代で、その反面には、このへんで発育の止る人もある、微妙な岐れ目で、我々としては、かえって迷いを深くした始末ですよ。皆さんの御意見では、殺された安彦氏がホンモノか、ニセモノか、それをきかせていただきたいのです」
由之は警官に遠慮なく、外国タバコをとりだして、一本くわえた。
「ホンモノもニセモノもないさ。あれは、あれで、一つのバケモノだ。あのバケモノが死んだことは、一家の主人たる私には、よろこばしいことさ」
由之は放言した。放言のおかげで容疑をかけられる怖れがあるということなど念頭にないらしい様子であった。
訊かれなければ返事をしそうもない定夫が、フッと独白して、
「身長か。六分の問題か。ふうん」
それが彼の興味をひいているらしい。
「オレたちボクサーだとね。試合のたびに身長と体重をはかるがね。素人は、そうは、いかないね。第一、身長のはかり方を知らないぜ。アゴを突きだす、つまり自然に直立した状態と、アゴをグイとひくのと、五分や六分は、違うものだぜ。