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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
第四章 町の容疑者
「じゃア、駅でお待ちしても、ムダですわね」
「さア、そこまでは分りませんが。なにしろ、どうも、定夫君があなたとの約束を思いだして、それから、どういう処置をとるか、これは僕には分りませんや。思いだして、駈けつけてくれりゃ、いゝんですがね」
「これから東京へ戻ったって、私の家へ帰るには、私電がなくなっていますわ。すみませんけど、御存知の旅館へ紹介していたゞけませんかしら」
「僕が又、小田原は土地不案内でしてね」
巨勢博士は頭をかいた。
「先生、どこか、このへんの旅館、知ってませんか」
私も小田原に住んではいたが、旅館に知り合いはいなかった。もうちょッと下品な方なら知り合いがあるかも知れぬが、そこは御婦人が自ら乗りこむ性質の場所ではない。
「いゝわ。そのへんで泊るから」
女は決然と言いきると、もう、私たちには目もくれず、駅前の旅館の方へスタスタと歩き去った。
第四章 町の容疑者
「さア、さア、巨勢君、こちらへ、おあがり下さい」
と大矢捜査主任に招ぜられて、座敷へ通った私は、その顔を見て、ビックリした。私の知っている顔なのである。
私が小田原に住んでいた時、泥棒に見舞われたことがある。