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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
どうか、ほかの誰かゞ音をきゝつけて叫んでくれるとよいと思いましてね。私はそんなものを見届けるなんてイヤでございますよ。けれども、いつまで経ってもシンとして、物音一つ起りません。ハイ、銃声は、ポンポンと三ツ四ツ起ったようでございますが、大きな音でございました。けれども、叫び声も起りませんし、そのまゝ何一つ気配もなく、静まりかえっているのでございます。そこで、ソラ耳かしら、と思いました。気を取り直して旦那様のお部屋の方へ行って見たのでございます。旦那様のお部屋は電燈が消えておりますが、滝沢様のお部屋はアカアカと電燈がついております。扉の上にガラスの小窓がありますので分るのでございますよ。そこで、滝沢様の扉をノックして、はいってみますと、あの有り様でございます」
「それから、警察へ電話したのだね」
「いゝえ、私は、もう、とりみだしまして、どうしてよいやら途方にくれてしまいました。自分の部屋へ戻って、何分間か、ふるえておりましたよ。これではいけないと思いつきまして、スミ子を起しに行きましたが、安彦様にバッタリ会いはしないかと、気もテンドウしておりました」
モト子とスミ子の供述のようだと、犯行時間は、警察が通報をうけた十時三十五分よりも二十五分前後早くなるのである。