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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
重吉は顔をしかめて蛸の口をとんがらしながら、ヴウーッと長い奴を一発たれて、ニヤニヤした。
「尾崎士郎の小説に、平安朝の屁をひりわける名人の話があるが、なるほど、マンザラ作り話でもないようだな。お前も寄席へでも上ってみたら、人気を博すかも知れんよ」
と、捜査主任は睡気をはらうためのように、重吉をからかった。
「エッヘッヘ。これが肉体の裏門でさア」
と蛸重は威張った。
「お前が今夜、外出したのは何時だったね」
「八時ごろでしょうかな」
「お前はどこで飲むんだね」
「それは旦那、カンベンして下さいな。裏口営業をバラして、ポンユーを裏切るワケにはいきませんな。天プラ御殿ということにして、手を打ちましょうや」
「八時から十一時三十五分まで、ずいぶん何杯も飲むんだろうな」
「エッヘッヘ」
と蛸重は笑って、返事の代りにブッとたれた。芸は身を助けるというが、急所へくると屁で身をかわすという調法な芸があるものである。
「お前の留守中に、この家に人殺しがあったことをきいているかね」
「きいても返事をしてくれませんから、何があったか知りませんでしたが、まア、人殺しぐらいだろうと思っていました」