轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にほんばし

日本橋

泉 鏡花

「日本橋」千章館、1914(大正3)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 页

青空文庫

私も診察なら病院へ来たまえなどと廻りくどいことは言わないから。」

「実際、願いたい次第でして。就てはで、御覧の通り、着のみ着のままだ云ううちにも、擦切れた獣の皮一枚だ、国手。雨露凌ぐ軒はまだしも、堂社の縁の下、石材や、材木と一所にのたっている宿なし同然な身の上だで、御挨拶も手続も何も出来ねえですで、そこでもって直訴だでね、生命がけで願えてえだな。」

「本当の診察なら、私は不可い。まるで脈を一つ採ったことの無い、自分の風邪をひいたのには葛根湯を飲んで、それで治る医者なんだ。こっちも謎のようなことを云うんじゃない。事実だよ。診察は、から駄目なんだよ。」

「決してそれは脈を取って貰うには当らんです。で、ただ国手の口一つだなあ。」

「口一つかね。」

「そうですわ。」

「どうするんですか。」

「四の五の無いで、ただ一言、(お孝に切れる。)云うて下さりゃ可いですのだい。」

「大方そんな事だろうと思ったよ、……この診察は当ったな。」

葛木は莞爾しながら、

「折角だ、が、君、頼まれないよ。」

「何で頼まれん、何で。ありゃ俺の生命ですが。」

「私の生命かも分らんのだ。」

「俺の女房だ事、知らんのかい。