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にっき
日記
宮本 百合子
13 一九二七年(昭和二年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 40,068 字 · 81 页
八月二十九日
九月二十二日
然し行かなければY行くまい。Yだけ行くとすれば我々の生活は破壊だ。破壊を欲する潜在力が、自分をこのようにロシアへ行かせたがらないのか。
○自分Yの居ナイトキの淋しさ、新聞記者が自分の書斎で落付けぬように、細かいキュークツな刺戟にナレテ、それがナイと落付けぬ。そういう部分もなくはなさそうだ。
クリストフ苦痛を籠の中に入れた。自分の苦痛な感情まだカゴの中に入って居ず。
泣キタイ、泣キタイ。
八月二十九日(月曜)
昨夜句あり
○白猫の足裏に散る萩の花
○竹の露しとど檐打つ夜半もあり
○はためくや遠稲妻に虫の声
今日
○鎌切の恋のかたみか雄の翹
○桜並木病葉の下犬二匹
○赤松の根に露草は咲きやらず
九月二十二日(木曜)
アルキペンコの作品が面白かったものの一つです。アルキペンコが女を実によく見て、知ってのみならず味って居ることを感じました。『改造』に佐藤春夫さんが、あれを見て、グレコを連想されたことが書いてあったが、確にあの細長く上にのび上った顔や肢体の線、或震えというもの、グレコを思わせる。然し。グレコの其等は彼の愛する黒と金との重い燃え上り、魂の暗く明るい燃えの揺れ、そんな感じだし、アルキペンコの方は、神経の戦ぎ、官能の上にのこる幻想、刹那に飛躍する心。