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にっき
日記
宮本 百合子
21 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,646 字 · 48 页
五月八日
のときに感じていたものとは又ちがう要素――とにかくここですこしつづけて小説をかくと一歩進めることが予感される。一生ケン命にやるべし、やるべし。徹夜などしないですむように勉強すべし。
魯迅選集の伝記をよんで大変面白かった。魯迅の生きた支那の複雑さをはっきり理解することが出来た。同時に複雑な政情の間に処する正義感のつよい芸術家のプラスとマイナスとを感じた。
〔欄外に〕
蒋が武漢でやった芝居。今日の支那の事情。もとより圧力に於て違っている。しかし深夜蒋は前科を何と追カイするか。その計量の心裡。
五月八日(土曜)
ラジオがいる。林町へ行ったら、どうしても午後一時五十分、三時四十分、五時二十五分の市況をきけない。第一放送の方だとアタゴにたしかめたのに入らず。妙だ。時間が来ると手帖をもって西洋間に行くが入らない。スミレやに借りることをたのむ。
かえって、一寸横になったら金さん来。かえされそうだ。いろいろ話す。ヤンバン。おちぶれヤンバンが町人で今権力あるものの系図をかきかえてヤンバンにいれてやる。系図出版十三冊二百円、ヤンバン料二三千円。それを共同のインチキヤンバンに本を詐取されて(あっちのをこっちへやったり)サギにかかってすっかりすってしまった話。