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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
楮紙の最上なものは全州産だという。暫くして任実の町にさしかかった。幸にもまた市日に出会う。たちまち四人の眼が忙しく働く。思い切って私たちは大きなものを買った。一つは竹でこしらえた鳥籠である。やや長めの卵型で長さは一間余りにも及ぶであろう。どんな所からこんなにも大胆な形を捕えて来るのか。胴中にあけられた四角の窓は鳥の出入口である。(今は山形県新庄の雪害調査所の陳列室に在る)。一つはこれも長さ六尺に及ぶクシである。水溜が二つ刳ってあって珍らしい。二肢の自然木が左右の足となって支える。買わないでおくにしては余りに美し過ぎる。もう一つは大きな箕である。箕も南鮮のは翼が張って形に特色がある。中でもこの任実のは仕事がよく材料がよく色がよかった。使うのは惜しい気さえする。私たちは心に恥じながら安い代金とこれらとを換えた。
任実の町から大きな峠を越えて長水面に向う。登るにつれて果しない眼界が目の下に広がる。山は既に春深く樹々は緑を競う。こんな長い美しい峠も多くはあるまい。石器の長水は昨夜からの夢である。邑内で車を下り郡守林明※(「王+旬」、第3水準1-87-93)氏に会う。