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いきにんぎょう

活人形

泉 鏡花

「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页

青空文庫

そりゃ大方天狗が嚔をしたのか、そうでなければ三ツ目入道が屍を放った音だろう。誰某は屁玉を喰って凹んだと大きに笑われたそうで、もう懲々して、誰も手出しは致しません、何と、短銃では、岩見重太郎宮本の武蔵でも叶いますまい。と渋茶を一杯。舌を濡して言を継ぎ、「串戯はさて置き、まだまだ気味の悪いのは。と声を低くし、「幽霊が出ますので。こは聞処と泰助は、「人、まさか幽霊が。とわざといえば亭主は至極真面目になり、「いいえ、人から聞いたのではございません。私がたしかに見ました。「はてな。「思い出すと戦慄といたします。と薄気味悪げに後を見返り、「部室の外が直ぐ森なので、風通しは宜うございますが、こんな時には、ちとどうも、と座敷の四隅に目を配りぬ。

泰助は思い当る事あれば、なおも聞かんと亭主に向い、「談してお聞かせなさい、実に怪談が好物だ。「余り陰気な談をしますと是非魔が魅すといいますから。と逡巡すれば、「馬鹿なことを、と笑われて、「それでは燈を点して懸りましょう。暗くなりました。「怪談は暗がりに限るよ。「ええ! 仕方がありません。先月の半ば頃一日晩方の事……」

この時座敷寂として由井が浜風陰々たり。