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いきにんぎょう

活人形

泉 鏡花

「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页

青空文庫

なるほど不思議がありそうだ。今に見ろ、一番正体を現してやるから。と何やら意味ありげに眩きけり。

さて泰助が東京よりこの鎌倉に来りたるは、左のごとき仔細のありてなり。

今朝東京なる本郷病院へ、呼吸も絶々に駈込みて、玄関に着くとそのまま、打倒れて絶息したる男あり。年は二十二三にして、扮装は好からず、容貌いたく憔れたり。検死の医師の診察せるに、こは全く病気のために死したるにあらで、何にかあるらん劇しき毒に中りたるなりとありけるにぞ、棄置き難しと警官がとりあえず招寄せたる探偵はこの泰助なり。

泰助はまず卒倒者の身体を検して、袂の中より一葉の写真を探り出だしぬ。手に取り見れば、年の頃二十歳ばかりなる美麗き婦人の半身像にて、その愛々しき口許は、写真ながら言葉を出ださんばかりなり。泰助は莞爾として打頷き、「犯罪の原因と探偵の秘密は婦人だという格言がある、何、訳はありません。近い内にきっと罪人を出しましょう。と事も無げに謂う顔を警部は見遣りて、「君、鰒でも食って死よったのかも知れんが。何も毒殺されたという証拠は無いではないか。泰助は死骸の顔を指さして、「御覧なさい。