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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
「探偵小説第十一集 活人形」春陽堂、1893(明治26)年5月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,111 字 · 82 页
二十一 旭
得三後居にどうと坐し、「やい、この態はどうしたのだ。と口なる手拭退けてやれば、お録はごほんと咳き入りて、「はい、難有うございます。「ええどうしたのだ。「はい、はい。もしお聞きなされまし。あの時お藤様を人形の後へ隠して、それから貴下、階下へおりてがらくた部屋の前を通ると、内でがさがさいたしますから、鼠か知らん、と覗きますとね、どうでございましょう。あの探偵泰助奴がむくむくと起き上る処でございました。「え!」
二十一 旭
幾度か水火の中に出入して、場数巧者の探偵吏、三日月と名に負う倉瀬泰助なれば、何とて脆くも得三の短銃に僵るべき。されば高楼より狙い撃たれ、外よりは悪僕二人が打揃いて入り来しは、さすがの泰助も今迄に余り経験無き危急の場合、一度は狼狽したりしが、かねて携うる絵具にて、手早く血汐を装いて、第三発の放たれしを、避けつつわざと撃たれし体にて叢に僵れしに、果せるかな悪人輩は誑死に欺かれぬ。
さりながら八蔵がなお念のため鉄棒にて撲り潰さむと犇くにぞ、その時敵は二人なれば、蹴散らして一度退かむか、さしては再び忍び入るにはなはだ便り悪ければ、太く心を痛めしが、あたかも好し得右衛門がこの折門を叩きしかば、難無く銀平に抱かれて、雑具部屋へ押込まれつ、後より得右衛門が擒にされて、同じ室へ入れられたるをも、泰助はよく