轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

第一証拠がないのだ。僕の妻はその空家へ行ったことを否定している。到底僕の為に有利な証言をしてくれる筈はない。それどころか、彼女にとっては、僕は恋人の敵なんだ。一方姦通者の片割は死んでしまった。そして、奴らの関係を知っている者は、僕の外に一人もないのだ。つまり、ここに一つの殺人がある。殺された奴は恐ろしいラスト・マアダラアだ。けれども誰もそれを知らない。これっぱかりの証拠もない。そして、ただ殺人者として、この僕が死刑台に上る丈けなのだ」

「分りました。分りました」青年は愛之助のくり言をさえぎって云った。「で、つまるところ、あなたは殺人者として処罰せられることを免れさえすればいい訳でしょう。サア、取引です。一万円は高いと御思いですか」

「話してくれ給え。一万円で何を買うのか」

「奇蹟です。想像も出来ない奇蹟です。それ以上説明は出来ません。僕を不信用だと御思いなさるのでしたら、これでお別れです」

青年はそう云って、いつかの晩の様に、その場を立去りそうにした。

「サア、ここに小切手がある。いくらでも金額を書入れよう」

愛之助は、もうお金なんか、ごみか何ぞの様に思っていた。