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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
「で、こいつらの逮捕は」
「まだです。無論手配は致しましたが、奴等の巣はとっくに空っぽでした。併し、仮令逮捕したところが、どうにも仕様がありませんよ。家宅侵入罪の外は何の罪もないのですから」
「フン、するとやっぱり、何一品盗まれたものはないと云うのだな」
総監は云いながら、チラと卓上の写真に目をやった。そこには、一人の賊が、彼の身体と同じ程の大荷物を背負っている有様が、明瞭に現われていた。
「そうです。私、今朝程、宮崎さん御本人に御逢いして、充分聞訊して来たのですが、宮崎家には塵程の紛失物もないということでした」
「だが、この荷物の恰好は、どうも品物の様には見えぬが」
「それです。私も無論それに気づきました。この写真ばかりではありません。A新聞の記者は賊共が『そりゃ重いさ、慾と栄養過多でふくれ上っているのだからね』と云っているのを耳にしたのです。その言葉から考えますと、どうしても人間としか考えられません。でその方も入念に検べたのですが、宮崎家の家族や召使でいなくなったものは一人もいないのです」
「その上に、この連名帳か。ワハハハハ、僕もやがて槍玉に上る訳だね」