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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
平家建の家に二階座敷のあること
そこで彼は真面目になって、一膝のり出して細々とした談判にとりかかるのであった。
平家建の家に二階座敷のあること
相手方がどんな人物か、予め知ることは出来ない。双方名前も、年も、身分も知らず、偶然その晩落合った者が一組を作るのだ。そして、一日一組以上の会合は絶対に避けることになっている。部屋代は一夜五十円で、それを相手方と折半で負担する。(この折半という所に値打がある。相手方も大枚のお金を支出するのだ)二度目からは同じ相手方を選ぶとも、新らしい籤を抽いて見るとも、そこは各自の自由である。というのが、ポン引紳士の所謂「秘密の家」の略規であった。
その家には、もう一人、ポン引貴婦人がいて、その婦人が同性のお客様を勧誘しているということだ。
「では一つ御案内願いましょう」
愛之助は酔いにまぎらせて、勇敢に出た。
「承知しました。ところで、固い様ですが部屋代は前金で御願いします。これは決してあなたをお疑い申す訳ではなく、刑事などがうまくばけて探りを入れるのを避ける為です。部屋代前金と云えば、刑事さんのポケットマネーじゃ。ちと骨でしょうからね」
「成程成程、念には念を入れる訳ですね」