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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
青木品川の両人実物幻燈におびえること
少々蒼ざめたからと云って彼女を疑う理由にはならぬ。
彼女が若し、知らずしてこの第二の品川四郎と不義を重ねているのだったら、非常な狼狽を隠すことは出来ない筈だ。狐忠信の正体を知った静御前の様に、ギョッとしなければならぬ筈だ。が、そんな様子も見えぬ。
「やっぱり俺の思い違いだったか。ヤレヤレ」
と、そこで愛之助は一層安堵を深くした訳であるが、この安堵が本当の安堵に終ったかどうか。
青木品川の両人実物幻燈におびえること
東京に着くと、愛之助は駅からS博士講演会場へ電話をかけ、品川に事の次第を告げ、彼の用事が終る時間を確めて置いて、その夜更け品川宅を訪ねた。
「僕はちっとも気がつかなんだ。併し、君の電話で驚いて、あの新聞の知合いの記者に電話で頼んで、やっと今、その写真の複写を取寄せた所だ。写真版じゃ本当のことは分らないからね」
愛之助が這入って行くと、品川は八畳の客間に待ち構えていて云った。紫檀の机の上に幻燈器械の様な妙な形の道具と、その側に一枚のピカピカ光る台紙なしの写真が置いてあった。見ると、例の夕刊の写真と同じものだ。
「この器械は?」
「エピディアスコープと云って、不透明なものが大きく映る幻燈器械だ。