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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页

青空文庫

彼は品川が、この人込みの中で、どんなことをするか、ソッと、見ていてやろうと思った。猟奇心のさせる罪の深い業である。

それから殆ど半日を浪費して、彼は品川のあとを、探偵みたいに尾行した。随分根気の要る仕事だったが、この猟奇者は、そういう根気は多分に持合わせていた。

何も知らぬ品川四郎は、人込みから人込みと、縫って歩いた。電気人形の前でも、地獄極楽の前でも、女剣舞の前でも、長い間、田舎者みたいにポカンと立尽していた。

「こいつ、こっそりいかもの食いに来ていやぁがる。恥しい趣味だものだから、僕にも内密にしていたんだな。大きなことを云っていて、お前もやっぱり同類じゃないか」

愛之助は、友達の弱味を掴んだ気持で、嬉しくなってしまった。

品川は多くの見世物は、口上を聞く丈けで素通りしたが、一番大きなテントの娘曲馬団へは、場代を払って這入って行った。

彼はそこの、蓆の座席で田舎の兄さんの脛や、娘さんのお尻にもまれながら、窮屈な思いをして、曲馬と軽業を一巡見物した。青木愛之助も相手に発見されぬ様に行動を共にしたことは云うまでもない。

そこを出たのは、もう夕方であった。