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ふくおうじでん

福翁自伝

福沢 諭吉

02 福翁自伝

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 页

青空文庫

義塾次第に繁昌

ドン/″\遣て居る。夫れから捕まえられたとか斬られたとか、或は奥平屋敷の溝の中に人が斬倒されて、ソレを又上から鎗で突たと云うような大騒動。所で私の倅はお祖母さんの処に居る、奥平の屋敷も焼かれて仕舞うだろう、あの子とお祖母さんはドウなろうかと大変な心配で、迎いに遣ろうと云ても遣ることも出来ない。夫れ是れする中に夕方になった所で事は鎮まって仕舞たが、その時でも大変に優しくて、ジッとして居ればドウもしない、何もこの内に居る者に怪我をさせようともしなければ乱暴もしない、チャンと軍令と云うものがあって締りが付て居るから安心しなさいと頻りに和めて一寸とも手を触れないと云う一例でも、官軍の存外優しかったことが分る。前に思たとは大違い、何ともない。

義塾次第に繁昌扨四月になった所で普請も出来上り、塾生は丁度慶応三年と四年の境が一番諸方に散じて仕舞て、残た者は僅に十八人、夫れから四月になった所が段々帰て来て、追々塾の姿を成して次第に盛になる。又盛になる訳けもある、と云うのは今度私が亜米利加に行た時には、其以前、亜米利加に行た時よりも多く金を貰いました。所で旅行中の費用は都て官費であるから、政府から請取た金は皆手元に残る故、その金を以て今度こそは有らん限りの原書を買て来ました。