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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页
四
倭文子は身体中が氷のようになってうつむいていた。
「一枝こそかわいそうだわ。あれで、からだの秘密をみんな知られて、ポンと捨てられてしまうのよ、きっと、三月とはつづかないでしょう。でも、一枝だから、まあいいのだわ。それがあなたであったら、どうでしょう。」
倭文子は落ち込んだ絶望の穴からやっとはい上った。
「でも、わたし、まさか村川さんが。」
彼女は、村川が自分以外の女性を、これほどかるがるしく愛しようとは思わなかった。
「そう、じゃ、あなたは村川さんが、わたしにキスしようとしたことをお信じになれないの。」
倭文子は、うちのめされてだまった。
「わたしも、村川さんを信じてあげたいの。まさか、一枝のような子供を弄ぶ人だとは思いたくないの。」
「何かの間違いですわ。その手紙だけは。」
倭文子は泣き出しそうな声でいった。
四
「そうね。何かの間違いかしら。わたしもそう思いたいわ。村川さんの人格のために、ねぇ。」
京子も思い直したように、やさしくいった。
「きっと間違いですわ。きっと。」
倭文子は、やっと逃げ道を見つけたように、必死になっていった。
「そうね。こんな手紙だけで、疑っては悪いわねぇ。