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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页

青空文庫

詰問

一

村川は、倭文子の心を掴んでいるようで、そのくせ不安だった。彼女の心は村川の掌中に掴まれながら、そのくせふわふわしていた。女性に対して不安を感ずれば感ずるほど、男性の心は惹きつけられるものだが。

詰問

一

京子は、その朝父の部屋に、村川が呼ばれていたとき、母の部屋で母と話していた。彼女の心もさすがに、落着きを失っていた。そのそわそわした彼女を、母はからかっていた。

「村川さんもいいけれども、あんなおとなしい方と結婚すると、お前のわがままが、一生なおらないねぇ。」

「うそ! わたしだって、ご主人ときまれば、何でもいうことを聴くわ。」

「どうですか。怪しいものだねぇ。」

「お母さまのいうことだって、この頃はよく聴いているじゃありませんか。」

「そうねぇ。自分に都合のいいことだけはねぇ。」

「あら。この間だって宗ちゃんの袷、縫ったじゃありませんか。」

「そうね。何日かかったかしら。あれでも縫ったことになるかしら。」

「だって、ピアノのレッスンもあるし、お花のお稽古もあるし、お縫物ばかりは出来ないわ。」

「お前、お台所の稽古も、少しはしておかないといけませんよ。お世帯を持っても、まるきり、女中まかせじゃ。