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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页

青空文庫

五

」

「それは無理ですな。」

「でもわたし一人でいるのは恐いわ。どうしたら、いつでもあなたのそばにいられるのでしょう。」

五

「男と女とが、いつでも一緒にいるためには結婚するほかはありませんね。」

倭文子は、結婚という意外な言葉に顔を真赤にした。

「まあ!」

「いつでも一緒にいられるのは夫婦だけですよ。」

「でも、結婚なんか出来ませんわ。」

「なぜです。」

「二人きりで、そんなこと出来まして。」

「出来ますとも、二人以外には、何がいるのです。」

「そう。川辺の伯父さんなんかが承諾して下さらなければ。」

彼女は心持赤らめた顔を、村川の方へふりむけた。彼女の顔は折り立ての草花のように純真だった。

「男と女とがお互にすべてをゆるし合えば立派な結婚ですね。法律上の手続きや社会上の儀式などはとにかく。」

倭文子はその意味がハッキリとわからぬように首をかしげたが、

「そうすれば、いつまでもわたしの傍にいて下さる。」

「そばにいられるかどうか。でも、永久にあなたは僕のものですし、僕はあなたのものです。」

「傍にいて下さらなきゃ、いやですわ。わたし、明日のことを考えると、恐ろしくてたまりませんの。