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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页
呪い
一
村川のカーペットに置いている両足はガクガクとふるえた。
「覚えていらっしゃる?」
京子は、無表情の声で、リフレーンのように、つづけた。
「覚えています。」
村川は重罪囚が、白状するように頭を下げた。
「そう。それなら、いいの。でもそれならなぜ、お父さまから申し上げた話をすぐ承諾して下さらないの。」
呪い
一
「あなた、父に考えさせてくれと、おっしゃったのですって。考えるも考えないもないじゃありませんか。わたしそんな煮え切らないこと、おっしゃる方嫌いだわ。――」
京子の声には、露骨な非難が、ひびいた。
「わたしに、あんな取り返しのつかないことをなすっていて、考えるって、何をお考えになるのです。よくよく考えてからなすったことじゃないの。」
村川の顔には、残っていた血色が、ことごとく無くなり、ふるえる身体をささえるつもりで、右の手を差しのばし、机の一端を握っていたが、その手にはげしいわななきが、絶えず起った。
「わたしは、芸妓や娼婦ではありませんよ。」
京子は先刻、今井にいったことを、つい又くり返したので、怒っていながら自分でおかしかった。
「わたし、だれの前にもはずかしくない清浄な処女だわ。