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がいとうからみたしんとうきょうのりめん

街頭から見た新東京の裏面

杉山 萠円

「九州日報」1924(大正13)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,546 字 · 178 页

青空文庫

糜爛する浅ましい姿

ようなるものの間から湧き起り、渦巻き散る様々の雑音、うなり、響き、叫び、とどろきは、気のせいか震災前に数倍して物凄いようで、田舎に居てはかなり気の利いたつもりの記者も、暫くの間ぼんやりとそこいらを見まわさせられた。

誰しも田舎から都会に出ると、一種の圧迫を感ずるものである。家の大きさ、往来の烈しさ、その中を見かえりもせずサッサとあるく人々の態度なぞが、いずれも特別に自分だけを意地わるく、ひややかにあしらっているようで、われしらず襟元をつくろい、ポケットの中のものをたしかめる気になるものである。わけても日本一の東京駅前の広場には、そうした気分を作るものがすっかり取り集められている。その中を記者は、昂然と肩をそびやかして、電車道に出たのであった。

糜爛する浅ましい姿

記者はこうして、九月初めから十月半までの東京市中を、縦横むじんにあるきまわった。蜘蛛手掻く縄十文字に見てまわった。用事の隙々や電車待つ間にはスケッチも試みた。こうして見ては考え、考えては見ているうちに、現在の新しい東京の裏面が次第に次第に見えすいて来た。あっちこっちで見たり聴いたりした事が、次第次第に一つの大きな焦点を作って来た。