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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
お登和「オホホ」と思わず笑い出す。主人はおかしさよりも気支わしく「それでは腹部ばかり膨満して身体が発達しまい」大原「勿論さ、大抵な小児は脾疳という病気のように手も足も細く痩せて腹ばかり垂れそうになっている。赤児というものはこういうものと僕は信じていたが東京へ来て始めて手足の肥った赤児を見た。それでも御方便なもので十歳以上まで生長すると山の奥の寒村だから自然と山や谷を飛び歩くようになって手足も始めて発育する。その代り十歳位な小供でも東京辺の大人位食物を喫するね。大きくなったら三倍ないし五倍だろう。女でも大概一升飯を平らげる。誰だっけ僕に話したよ、僕の地方へ来て農民が重箱よりも大きな弁当箱を腰へ下げているから家内中の弁当を独りで持って行くのかと思ったが食べる時見たら一人で平らげたと驚いていた。僕なんぞは国へ帰るとまだ少食の組だよ、僕ら位の年の者は雑煮餅の三十枚位平気だからね。外の家へ御馳走のお客にでも往ってみ給え、お強鉢といって倒れるまで食べなければ承知しないから」と地方到る処この弊あり。
○小児の時胃袋を拡げたるが生涯の病となる。親たるものはよく注意すべし。