轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页

青空文庫

もういくら耳をすましても、聞えては来ぬ。

二郎はいきなり、隣のベッドの巡査をゆり起した。

「どうもおかしいことがあるんです。僕と一緒に下へ降りて見てくれませんか」

二人ともパンツのまま横になっていたので、上衣を着ればよいのだ。巡査は用意の為に帯剣までつけて、階下に降りた。邸内は死んだ様に静まり返っている。薄ボンヤリした常夜燈を便りに廊下を一曲りすると、そこに福田氏の寝室なり書斎なりの扉がある。

二郎はビクビクもので、その扉を押し試みたが、内側から鍵をかけたままと見えて、ビクともしない。だが何となく異様な予感がある。

「主人を起して見ましょうか」

「そうですね。念の為に」

巡査も賛意を表したので、二郎はドアの鏡板をトントン叩いて、「叔父さん、叔父さん」と呼んで見た。二三度同じことを繰返したが返事がない。

「やっぱり変ですよ」

二郎はもう真青になって、次に取るべき手だても思浮ばぬ様子だ。

「鍵穴から覗いて見ましょう」

流石巡査は思いつきよく、腰をかがめて鍵穴を覗いていたが、やがて振向いた彼の顔は、恐ろしく緊張して見えた。

「血、血です。……」

「エ、じゃ、叔父さんは……」