轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
「相模入道を食い殺せ!」
「ソレ宮方を噛み仆せ!」
二頭の猛犬は猛烈と吼えた。
「ウオ――ッ」
「ウオ――ッ」
「ワ、ワ、ワ、ワ――ッ!」
闘犬の稽古をしているのであった。
(これはいったい何んということだ! 妖怪屋敷だ! 化物部屋だ!)
小次郎は茫然と佇んで、四辺の光景を悪夢かのように眺めた。
桂子も浮藻も彼を置き去って、奥の部屋の方へ行ったことにさえ、彼は全く気づかなかった。
と、一人の二十八、九の男が、気安そうに彼の側へやって来たが、
「新米殿、ひと稽古たのむ」
こう云うとドンと衝突った。
その男が肩で小次郎の胸を、正面からドンと突いたのであった。
「あッ、乱暴な何をする!」
少し怒って小次郎は怒鳴った。
「稽古じゃ、アッハッハッ、怒ってはいけない」
「稽古? 稽古とは? 何んの稽古?」
「何か紛失物ありませぬかな?」
「紛失物? 何をつまらない」
そう云ったものの不安になって、小次郎は懐中を探ってみた。
小金を入れた小袋が、懐中からいつか失われていた。
「ない! 金が! 金を入れた袋が!」
「すなわちこれでござろうがな」
その男は小次郎の鼻の先で、皮の小袋を振ってみせた。