轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

血を絞った痕なのである。

桂子は右手に小刀を握ると、刃の先で左の腕を引いた。

血が柘榴の果実のように産まれ、次々に産まれて紅紐のようになった。

壺の中へしたたらせた。

彼女は写経をつづけて行った。

彼女の写経は血書きなのであった。

でも何んのために血書きなどという、荒々しい写経をするのであろう?

この頃宮方では朝権恢復、鎌倉幕府討滅の、再度の計を企てられ、その最初の手段として、この年早々に法勝寺の円観、小野の文観、南都の知教、浄土寺の忠円、教円などという、名だたる高僧知識をして、北条家調伏の修法をせしめた。

もっともこの企ては宮方の一人、吉田定房の密告によって、北条氏の知るところとなり、その首謀者と目されたところの、藤原俊基その人と共に、如上の僧侶たちは捕縛され、京から鎌倉へ護送されたが、なお北条家では心休まらず、わけても両六波羅では不安にたえず、宮方が調伏で向かうなら、こっちも調伏で向かってやろうと、鬼火の姥にそれを命じた。

姥は勇んで引き受けた。

そうして比叡山の洞窟にこもって、その調伏にとりかかった。

と探り知った桂子は、

(ではわたしは観音経の血書き、これ一つで姥の調伏に向かい、その調伏を破ってやろう)