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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
と小次郎は思った。
(こんなオトッツァンに抱き縮められるのは厭さ。……これが可愛らしい浮藻だったらなあ)
「首捻じ切るぞオ――ッ」
と猛然と、右衛門は小次郎へ躍りかかった。
一閃!
「わッ」
見よ、小次郎は、はじめて抜いた長目の太刀を、延び延びと構えて前へ差しつけ、その先で右衛門が海老のようにノケゾリ、まさに倒れようとしているではないか。
「右衛門や」
と小次郎は云った。
「わしはちょっとでもお前の体へなんか、太刀をさわらせやアしないじゃアないか。びっくりするにはあたらないよ」
そう、小次郎はただ太刀を抜いて、抱きつかれまいとして防いだままであった。
が、太刀の抜き方が、鋭くて素早くて機先を制していたので、右衛門ほどの豪勇も驚き、海老のように体を曲げたのであった。
「ウ、ウ、ウ、ウ!」
と右衛門は唸った。
重ね重ねの自分の醜態に、恥じ怒り、悲しくさえなり、口が利けなくなったのである。
しかし次の瞬間には、鉞の方へ飛んで行っていた。
柄をひっ掴むとグ――ッと振り上げ、
「今度こそ遁がさぬ、乳臭児めが――ッ」
振り返って躍りかかった。
「や※(感嘆符疑問符、1-8-78)」