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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「オホホ、お姫様、オホホ、いやな」

と、これもちっともイヤでなさそうに、鶏娘も云ってしなをつくり、

(小次郎様に恋されて以来、お姫様も粋におなりになり、アジなことをおっしゃるよ)

と、こんなことを思っていた。

この月十五日に関東軍は、総勢こぞって京都を立ち大和路と佐々良路と天王寺路と、そうして伊賀路の四道から、赤坂の城へ向け出発した。

総勢二十万と号されていた。

中一日を旅に費やし、十七日赤坂へ到着した。

総大将は大仏陸奥守であった。

土地の豪族篠原左近、この人の館を本陣とし、その夜陸奥守は軍議を開いた。――というのは形式だけで、実は酒宴をひらいたのである。

部屋部屋の境いの襖を外し、こうこうとした広間とし、燈火のあかるくともしつらねた、その部屋の正面に毛皮を敷き、京都五条から連れて来たところの、白拍子鞍馬を膝へ引きよせ、これは五条の白拍子の、千山というのを胸へ寄らせ、悦に入っている坊主頭の、河越三河入道をニラメながら、

「三河どうじゃ、……いい女だろう。……千山、それでワザ師でな、……そうであろうがな、コーレ千山!」

「何を入道様仰せられますことやら」