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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

そうかと思うといやそうでない、漢権守は実は女で、それも非常な美人だよと、こんなように云う者があるかと思うと、老人だと主張する者などもあった。

が、偽りない真相は、やはり漢権守はあるのであるが、眼の所へ二つの穴をあけた、全身を包む黒の被衣で、その体を蔽うているので、同じ館にいる腹心の部下にも、本当の姿がわかっていない。――ということであるようであった。

「おいどうしよう?」

と番小屋警備の、守衛の武士が朋輩へ云った。

「こやつら三人どうしたものかな?」

「さようさ」

と朋輩の武士は云った。

「求めてこっちから連れて来たのでなく、向こうから迷い込んで来たのだから消してしまうのがいいだろう」

消すというのは殺すことらしい。

「が、娘はあのとおり綺麗だ」

「娘だけ送り込むか」

「ともかくも三人送り込んで、係りの者に取捨させたがいい」

と、三人目の武士が云った。

「では貴公送って行け」

「よし」

と、その武士は番小屋から出て、桂子たち三人の前へ立った。

「来い、よい所へ案内するから」

生ける白布

三人はその後へついて行った。

小広い道が出来ていて、その左右は杉並木であり、左側は山の斜面であったが、右側は丘から丘に通じた、丘陵地帯をなしていた。