轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
この時、率然と宮家の御心へ、父帝の御事が思いいでられた。
笠置落城後御いたわしくも、賊軍の手にお渡りになり、六波羅へ入御あそばされたとばかり、世上の取り沙汰で耳には入れたが、その後いかが遊ばされたか。
尊澄法親王、尊長親王、このお二方も賊の手に渡り、藤原藤房、花山院師賢、北畠具行、千種忠顕、これらの人々も賊の手に! ……
(その後はいかに? その後はいかに?)
宮家には思わず沈思遊ばされた。
その夜蓑笠で体を蔽い、雪をしのいで一人の男が、戸野の館へ近寄って来たが、雪持ち松の逞しい枝を、笠のように着ている大門に寄り添い、しばらく様子をうかがってから、潜り戸を拳で、ホトホトと打った。
「誰じゃい」
と、内側から門番が云った。
「こんなに遅く、何んの用じゃい」
「あけろ、わしじゃ、大弥太じゃ! ……御曹司様のご帰館じゃ」
「や、ほんとに、大弥太様のお声じゃ」
すぐに潜り戸があけられた。
「そっとしておれよ、面映ゆいからの」
云いすてて大弥太は玄関へはかからず、裏口から、こっそり屋内へはいった。
「まあ若様!」
とその姿を認めて、二、三人の婢女の驚くのを、
「静かに静かに、ええ騒ぐな」