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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

の高楼へ上ろうとした。と、

「父上!」

と背後から呼んで、無数に矢を立てた若武者が、あえぎあえぎ走って来た。

義光の一子義隆であった。

「おお父上、その姿は※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「よろこべ義隆、人臣の誉れ! 大塔宮様御身代わりとなって、本日只今討ち死にいたすわ!」

「御討ち死に※(感嘆符疑問符、1-8-78) 宮様に代わり※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

と義隆はグタグタと膝をついたが、

「この義隆もしからば御供!」

「ならぬ!」

と義光は大音に叫んだ。

「宮様高野へお落ちあそばされたわ! ……遮る逆賊あろうもしれぬ! ……汝参って防ぎ矢仕れ! ……それこそ忠! ……それこそ孝! 今はこれまで! 今生の別れ!」

「父上!」

と縋る義隆の前には、閉ざされた櫓口の扉ばかりがあって、内側から義光のかけたらしい、閂の音が聞こえて来た。

櫓に上った村上義光は、はざまの板切って落とし、雲霞のごとく寄せて来ている、寄せ手の眼前へ全身をあらわし、大音声に呼ばわった。

「天照大神の御子孫、神武天皇より九十五代の帝、後醍醐天皇第一の皇子、一品兵部卿親王護良、逆臣のため亡ぼされ、怨みを泉下に報ぜんために、只今自害するありさま見置きて、汝らが武運忽ちに尽き、腹を切らんとする時の手本にせよ!」