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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
白雲の中から嬉々として叫ぶ、猩々卯ノ丸の声が聞こえ、歌うような桂子の声とが聞こえた。
「さようならお前達! またわたしは飛天夜叉になったよ。……わたしは今は不死なのだよ。……山や川や草や木や、お月様やお星様や、お太陽様と同じなのだよ。……でもお前達とは逢えないでしょうよ。……別の世界に住むのだから。……何んてここは幸福なんだろう! ……おお一切の覊絆がない!」
白雲は谷を渡って行く。六人の者は茫然として、その行衛を見守った。
「お姉様は仙人におなりなされたのねえ」と、浮藻はそっと小次郎へ云った。
「そうです」と小次郎も云いながら、優しく浮藻の手を取った。「女仙人になったのです」
この時右衛門は大鉞を、谷底目がけて投げ下ろした。
「こういう得物を持っていることは、俺には必要なくなってしまった。お守りする人がなくなったのだからなあ」
「俺もこの足に用がなくなった」こう云って袈裟太郎は早走りを自慢の、二本の足を両手で撫でた。
「でも」と鶏娘が咎めるように云った、「小次郎様と浮藻様とが、結婚してご夫婦におなりなされれば、わたしたちにとってはやはりご主人、お守りしなければなりますまいに」