轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「そうかねえ、わしは知らん」

「雪の多い年だと知ると、蜜柑は葉下へしがみつきますけれど、雪が少ない年だと知ると、葉の上へ顔を出しますそうで」

「ははあさうかねえ、面白いねえ」

「蜜柑は気候を知っておりますのね」

「そうらしいなア、偉いものだ」

「良人の心を知っているものは、誰が一番でございましょう?」

「…………」

「妻ですの! 女房でございます!」

とうとうここへもって来たのであった。

頼春はヒヤリとした。

(俺の秘密に感づいているらしい)

こう思ったからである。

椋鳥が群れをなして翔けて来たが、坪庭の柿の木へ一斉に下り、いかにもガサツに啼き立て、騒ぎ立て、しばらく喧騒をつづけたかと思うと、真昼の陽のひかりのみなぎっている空を、なんの屈托もなさそうに、また打ちそろって翔けて行った。

早瀬は欄干へ背をもたせかけ、涙ぐんだ眼でそれを見送った。

その横顔が頼春に見えた。

薄桃色をした可愛い耳たぶ、額から何んの窪みも持たず、真っ直ぐにつづいているおっとりした鼻、――六波羅第一と賞讃れた美貌が、娘時代と変わりはなく、今につづいているのであった。

が、思いなしか頬のあたりへ、すこしく陰影が出来たようであった。